so5インタビュー

小林氏:
 僕はRPGが大好きなんです。ゲームの魅力全てが詰まっていて,夢がある。中でも「スターオーシャン」の方向性は,少年マンガの主人公になれるような感じがあって好きなんですよ。


 確かに剣と魔法,SFといったキーワードを見ても,少年マンガの雰囲気がありますね。小林さんが本作を立ち上げようと思った理由は分かりましたが,それを会社に認めてもらうのは大変ではなかったですか?

小林氏:
 確かに現在のコンシューマゲーム開発はリスクが大きい部分がありますが,スクウェア・エニックスはコンテンツを作る会社ですので,きちんとその意図を説明できれば,理解してもらうのも早いんです。そういう意味でも,すごい会社だと思います。


 しばらく間の空いたシリーズの最新作というと,最近ではスマートフォンやブラウザ向けに,外伝などを展開するケースが多いようです。今回据え置き型ゲーム機向けのナンバリングタイトルにした理由を聞かせてください。

小林氏:
 物語性の強いものは,受け手の感情を育てていくと思うんです。僕が子供の頃に字を覚えたのはマンガですし,本を読んで文章力を,映画を見て感情を育んできました。コンシューマゲームもそうしたことができるところに到達したと思っています。
 そんな中で「スターオーシャン」の物語を表現し,そこから得られたものを心の糧としてもらうにはやはりじっくり遊ぶ据え置き型ゲーム機だろうと思って,少々無理を言ってやらせてもらいました。


 自分のような体験をしてもらいたいという思いでここまで開発してこられたんですね。

小川氏:
 小林さんは,開発現場のことを考えていいものを作れるようにした上で,クオリティに関してはお客さん目線でのジャッジをして頂けるので,そこは凄く信頼していますね。

あきまん氏:
 ゲーム作りというのは,あらゆる局面でピンチになるという意味で究極の現場の一つだと思うんですが,小林さんはそんな厳しい状況で,こぼれそうになるものをあきらめずに全部拾っていこうとするんです。何というか,すごく「まっとう」な人だと思います。

小林氏:
 僕はクリエイターではないですから,皆さんのお力を借りて,作っていただいたものをまとめ,いかに商品性を高めていくかということを考えています。皆さんがゴールできるまでの道筋を作るのが仕事だと思っていますね。


 そうやって完成しつつあるSO5ですが,キャラクターやストーリーをしっかり描くというところは,最近ヒットしている海外産オープンワールドRPGの,プレイヤーが自由にゲームを進めるシステムと,ある意味対照的なところがありますよね。そのあたりに対して思うところを聞かせてください。

小林氏:
 日本と海外のRPGでは「ロールプレイ」の仕方が違うと思うんです。海外のものは“その世界に自分が自分のまま入り込んで楽しむ”というもの,日本は“少年マンガ的な展開を主人公目線で体験する”ものが多いように思います。
 「スターオーシャン」シリーズは後者ですが,シームレスにしたことでオープンワールド的な快適さのニュアンスもありつつ,シナリオドリブンなRPGになれたのが今回のSO5ではないかと思っています。“23歳という大人になりたてのフィデルが,大人としてどう成長していくか”という,遊んだ方にいろいろな意見を持ってもらえるストーリーになっていますので,その中で自分がどう思うか,この冒険から何を持って帰るのかということですね。

小川氏:
 「スターオーシャン」はシナリオを見ていく側面も強いタイトルだと思うので,キャラクターがいることが大前提なんですが,今回のフィデルは過去作と比べると,プレイヤーさんに近い視点でストーリーを楽しめる主人公になっていると思います。


 では,最後にSO5を待ちわびているプレイヤーのみなさんにメッセージをお願いします。

小林氏:
 実は技術的にいろいろと新しいことをしているゲームなのですが,触ってみると新しい感じがしないんです。これは正解だと思っているので,ぜひプレイしていただきたいです。開発中からずっとゲームを触ってきて,何が面白いのかということが麻痺している僕ですら面白いものになっていますから。

あきまん氏:
 まずはまだ残っている仕事のクオリティをできるだけ理想値に近づけて,その後はプレイヤーとして,皆さんと体験を共有したいですね。

小川氏:
 最後の最後までいろいろとチューニングをしましたので,遊びやすいゲームに仕上がっていると思います。皆さんのご期待に添えるタイトルになっていますので,楽しんでいただきたいです。